軽貨物配送では、荷物を積んで走っている時間だけが売上につながります。
配送を終えて拠点へ戻る時間、次の案件まで待機する時間、荷物を受け取るために移動する時間など、荷物を積んでいない「空車時間」が長くなると、売上が発生していない間にも燃料費や車両費がかかります。
軽貨物配送の利益を増やすには、配達件数を増やすだけでなく、空車時間と空車距離を把握し、無駄な移動を減らすことが重要です。
この記事では、軽貨物配送で空車時間が発生する原因と、効率よく減らす方法を解説します。

空車時間とは、軽バンに配送する荷物を積んでいない状態で稼働している時間です。
例えば、次のような時間が該当します。
空車時間と似た言葉に「空車距離」があります。
空車時間は荷物を積んでいない時間、空車距離は荷物を積んでいない状態で走った距離です。利益を改善するには、両方を確認する必要があります。
空車で走行していても、次の費用は発生します。
荷物を運んでいなければ、基本的にその移動から運賃は得られません。
国土交通省の原価計算資料でも、実車率が60%の場合、残りの空車40%は運賃を収受できず、原価のみが発生する運行になると説明されています。
空車時間が長いほど、次の荷物を運べる時間が少なくなります。
特に、午前の配送先から午後の集荷先までの距離が遠い場合や、配送終了後に長い待機時間が発生する場合は、1日の売上を伸ばしにくくなります。
空車走行が増えると、売上につながらないまま車両の走行距離が延びます。
走行距離が増えれば、タイヤ、エンジンオイル、ブレーキなどの消耗も早まります。リース契約に走行距離制限が設定されている場合は、超過料金にも注意が必要です。
売上を確保しようとして、空車時間の後に無理な案件を追加すると、長時間運転や休憩不足につながる可能性があります。
国土交通省によると、事業用軽自動車の保有台数1万台当たりの死亡・重傷事故件数は、2016年から2023年にかけて約4割増加しました。この状況を受け、2025年4月から貨物軽自動車運送事業の安全対策が強化されています。
空車時間を減らす場合も、速度超過や休憩時間の削減ではなく、案件とルートの組み合わせを見直すことが基本です。

最初に行いたいのが、現在の空車時間を把握することです。
毎日の運行について、次の項目を記録しましょう。
| 記録する項目 | 内容 |
|---|---|
| 出発時刻 | 拠点や自宅を出た時刻 |
| 集荷時刻 | 荷物を積んだ時刻 |
| 配送完了時刻 | 最後の荷物を届けた時刻 |
| 帰着時刻 | 拠点や自宅へ戻った時刻 |
| 実車距離 | 荷物を積んで走った距離 |
| 空車距離 | 荷物を積まずに走った距離 |
| 待機時間 | 集荷や次の案件を待った時間 |
| 売上 | その運行で得た報酬 |
| 経費 | 燃料代、高速料金、駐車料金など |
配送アプリの履歴、カーナビ、走行距離計などを活用すれば、詳細な記録を残しやすくなります。
まずは1週間から1か月程度記録し、空車時間が発生しやすい曜日、時間帯、配送エリアを確認しましょう。
実車率とは、全体の走行距離または稼働時間のうち、荷物を積んで運行した割合です。
距離を基準にする場合は、次のように計算できます。
実車率 = 実車距離 ÷ 総走行距離 × 100
例えば、1日に150km走り、そのうち荷物を積んで走った距離が105kmだった場合は次のとおりです。
105km ÷ 150km × 100 = 実車率70%
残りの30%にあたる45kmは空車走行です。
実車率だけで良し悪しを判断するのではなく、売上、拘束時間、燃料費と一緒に比較することが大切です。
遠方へ配送した後、そのまま空車で戻ると、帰りの燃料費と時間が売上につながりません。
可能であれば、配送終了地点の近くから出発する案件を探しましょう。
例えば、A市からB市まで荷物を運んだ後、B市周辺からA市方面へ向かう荷物を受けられれば、帰りの空車走行を減らせます。一般的に、このような荷物は「帰り荷」と呼ばれます。
求貨求車サービスや配車アプリには、荷物を運んでほしい荷主と空車を抱える運送事業者を結びつけるものがあります。経済産業省も、空き状況のデータを活用した求貨求車サービスを、積載率向上につながる物流デジタルサービスとして紹介しています。
ただし、サービスを利用する前に次の条件を確認してください。
帰り道と方向が合っていても、長い待機時間が発生する案件では、かえって利益が減る場合があります。
1日に複数の案件を受ける場合は、配送先だけでなく、次の案件の集荷先まで確認しましょう。
午前の配送終了地点と午後の集荷先が近ければ、空車での移動時間を短縮できます。
案件を比較するときは、次の順序で並べて確認すると分かりやすくなります。
1件ごとの運賃が高くても、次の集荷先まで遠い案件では、1日全体の利益が下がることがあります。案件単価だけでなく、全行程の走行距離と拘束時間で判断しましょう。
定期案件は予定を立てやすく、安定した売上につながる一方、配送と配送の間に時間が空く場合があります。
その空き時間や帰り道に、短時間で完了できるスポット案件を組み合わせれば、空車時間を売上につなげられる可能性があります。
ただし、無理な組み合わせは避けなければなりません。
特に食品、医薬品、精密機器などは、ほかの荷物との積み合わせが制限される場合があります。必ず荷主や元請事業者へ確認しましょう。
次の案件まで時間が空いたとき、目的なく走りながら案件を探すと、空車距離とガソリン代が増えます。
よく配送する地域では、次のような待機場所を事前に確認しておきましょう。
私有地、店舗の駐車場、路上などで無断待機すると、苦情や駐車違反につながるおそれがあります。施設の利用条件を守り、長時間のアイドリングも控えましょう。
空車時間には、荷物を受け取るまでの荷待ちも含まれます。
同じ集荷先で毎回30分以上待つ場合は、到着時間、受付時間、積み込み開始時間、出発時間を記録し、元請事業者や荷主へ相談しましょう。
次のような改善策が考えられます。
国土交通省の生産性向上事例では、予約システムや電子伝票の導入により、平均滞留時間を48.8分から約15分まで短縮した事例が紹介されています。これは大規模な物流現場の事例ですが、時間を記録して関係者と共有する考え方は、軽貨物配送にも応用できます。
国土交通省「貨物自動車運送事業における生産性向上に向けた調査」
空車時間を減らす目的は、車を常に走らせることではありません。最終的な目的は、必要な休憩を確保しながら利益を残すことです。
次のような案件は、条件の見直しを検討しましょう。
1件の運賃ではなく、1時間当たり、または1km当たりの利益を計算すると比較しやすくなります。
空車を避けたいからといって、すべての案件を受ける必要はありません。
追加案件によって遠回り、高速料金、待機時間が発生すると、売上は増えても利益がほとんど残らないことがあります。
複数の案件を組み合わせる場合も、最大積載量を超えてはいけません。
また、荷主の許可なく他社の荷物を積み合わせると、契約違反や誤配送、情報漏えい、荷物の汚損につながる可能性があります。
休憩時間は、安全運転を続けるために必要な時間です。
空車時間を減らすために休憩を削ったり、食事を取りながら運転したりするのは避けましょう。疲労や眠気を感じた場合は、案件の効率よりも休憩を優先してください。
案件の検索や受注操作は、必ず安全な場所へ停車してから行いましょう。運転中のスマートフォン操作は、重大事故につながる危険があります。
次の項目を定期的に確認しましょう。
空車走行を完全になくすことは困難ですが、走行距離が増えやすい軽貨物配送では、車両の契約条件も収支に影響します。
軽バンをリースまたはレンタルするときは、次の内容を確認しましょう。
空車距離が多い働き方では、月額料金が安くても、距離超過料金や消耗品費によって総費用が高くなる場合があります。想定する月間走行距離を伝えたうえで、契約内容を比較することが大切です。

軽貨物配送の利益を改善するには、売上を増やすだけでなく、荷物を積んでいない空車時間と空車距離を減らすことが重要です。
まずは、実車距離、空車距離、待機時間、売上、経費を記録し、無駄が発生している場所を確認しましょう。
特に効果が期待できるのは、次の取り組みです。
ただし、空車時間を減らすために休憩を削ったり、無理な時間設定で案件を詰め込んだりしてはいけません。
安全を最優先にしながら、1日全体のルートと案件の組み合わせを見直しましょう。
軽貨物配送では、案件内容によって月間走行距離や必要な車両の条件が変わります。
軽バンリース・レンタル本舗では、配送期間や働き方に合わせた事業用軽バンのリース・レンタルについて相談できます。
初期費用を抑えて軽貨物配送を始めたい方や、走行距離に合った車両プランを検討している方は、最新の料金、契約条件、メンテナンス内容をご確認ください。