軽貨物配送では、マンションやアパート、雑居ビルなど、エレベーターのない建物へ荷物を届けることがあります。
軽い荷物であれば大きな問題にならない場合もありますが、飲料、家具、家電、書類などを階段で何度も運ぶ作業は、腰、膝、肩に負担がかかります。足元が見えない状態で階段を上り下りすれば、転倒や荷物の落下につながる危険もあります。
この記事では、エレベーターのない建物へ配送するときの負担を減らす方法や、安全に作業するための注意点を解説します。

エレベーターのない建物では、平坦な場所での配送とは異なる負担が発生します。
主な理由は次のとおりです。
特に注意したいのが、腰痛と階段での転倒です。
厚生労働省の腰痛予防対策指針では、重量物の持ち上げや運搬、不自然な姿勢などが腰部への負担になるとされています。また、作業場所や通路、階段では、足元や周囲の安全を確認できる明るさを確保することも重要です。
エレベーターの有無を現地で初めて知ると、必要な時間や道具、人員を準備できません。受注時や出発前に配送条件を確認しましょう。
最低限、次の項目を確認しておくと安心です。
エレベーターが設置されていても、点検や故障で使用できない場合があります。重量物や大量の荷物を届ける場合は、配送当日に利用できるか確認するとよいでしょう。
階段配送では、荷物1個の重さだけでなく、個数や往復回数も身体への負担に影響します。
例えば、10kgの荷物を1回運ぶ場合と、同じ荷物を10回運ぶ場合では、作業全体の負担が大きく異なります。
受注前には次の情報を確認しましょう。
重量や大きさが分からない場合は、「段ボール数箱」といった説明だけで判断せず、荷主や元請事業者へ具体的に確認してください。

一度に多く運ぼうとすると、身体への負担が増えるだけでなく、足元が見えにくくなります。
分割できる荷物は、無理のない重さに小分けして運びましょう。往復回数は増えますが、転倒や荷物の落下を防ぎやすくなります。
ただし、荷主の許可なく梱包を開封してはいけません。小分けが必要な場合は、出荷前の段階で梱包方法を調整してもらいましょう。
腕を伸ばした状態で荷物を持つと、腰や肩への負担が大きくなります。
荷物はできるだけ身体に近づけ、両手で安定させて持ちましょう。床から持ち上げるときは、腰だけを曲げるのではなく、膝を曲げて腰を落とします。
持ち上げるときの基本は次のとおりです。
方向を変えるときは、上半身だけをひねらず、足を動かして身体全体の向きを変えましょう。
厚生労働省も、荷物を身体から離して持つことや、前屈、ひねりなどの不自然な姿勢を避けるよう案内しています。
荷物を高く積み重ねると、階段や踊り場が見えなくなります。
一度に運ぶ個数を減らし、少なくとも数段先の足元を確認できる状態にしましょう。荷物を顔の高さまで持ち上げたり、視界を遮る位置で抱えたりするのは危険です。
伝票やスマートフォンを見ながら階段を移動することも避けてください。届け先の部屋番号や連絡先は、階段を上る前に確認しましょう。
階段配送では、靴の状態も安全性に影響します。
次の条件を満たす靴を選びましょう。
サンダルやかかとの高い靴は、階段でバランスを崩す原因になります。雨の日は、建物へ入る前に靴底の水分や泥を落とすことも大切です。
服装は、膝や腰の動きを妨げないものを選びます。袖や裾が荷物、ドアノブ、手すりなどに引っかからないよう注意してください。
車両から建物入口までの移動には、台車を活用すると負担を減らせます。
階段では通常の台車を使用できなくても、車両から階段下まで荷物をまとめて運ぶだけで、手持ちで移動する距離を短縮できます。
台車を使用するときは、次の点に注意しましょう。
通常の台車を無理に階段へ乗せると、荷物や台車が落下する危険があります。階段上での使用は避けてください。
配送内容によっては、階段昇降に対応した電動運搬車や階段用台車が役立つ場合があります。
ただし、階段対応製品であっても、すべての階段で安全に使えるわけではありません。階段の幅、角度、踊り場、段差の形状、荷物の重量によっては使用できない場合があります。
導入するときは、次の内容を確認してください。
練習をせずに実際の配送先で初めて使用するのは危険です。取扱説明書を確認し、荷物を載せない状態や軽い荷物で操作方法を習得してから使用しましょう。
1人で安全に扱えない荷物は、無理に持たず、複数人で運ぶ方法を検討します。
厚生労働省の腰痛予防対策では、重量物の取り扱いに台車や補助機器を使用し、人力による負担を減らすことが原則とされています。人力で扱う場合も、重量だけでなく、作業回数、作業姿勢、運搬距離などを考慮する必要があります。
2人で運ぶときは、次の点を決めておきましょう。
前後の作業者が別々のタイミングで動くと、荷物の重さが一方へ偏ります。「持ち上げます」「止まります」「下ろします」など、短く分かりやすい声かけを行いましょう。
階段配送を続けると、呼吸が乱れ、足の筋肉も疲労します。その状態で作業を続けると、つまずきや踏み外しが起こりやすくなります。
息切れ、足の震え、握力の低下などを感じた場合は、安全な場所で荷物を下ろして休憩しましょう。
ただし、階段や避難経路へ荷物を置くと、住民の通行や緊急時の避難を妨げる可能性があります。荷物を一時的に置ける場所は、建物管理者や受取人へ確認してください。
可能であれば、階段を使う配送先を短時間に集中させず、平坦な場所への配送と組み合わせましょう。
重量物の階段配送が連続すると、後半になるほど疲労が蓄積します。案件を並べ替えられる場合は、荷物の重量、配送階、移動距離を確認して順番を調整します。
時間指定がある場合は、荷主や元請事業者の指示を優先してください。
階段配送用の荷物を荷室の奥へ積むと、取り出すために中腰やひねり動作が増えます。
配送順が決まっている場合は、先に届ける荷物を取り出しやすい位置へ積みましょう。
ただし、後部ドアを開けたときに荷物が落下しないよう、積み方と固定方法には十分注意してください。
次のような場合は、現場だけで対応しようとせず、受取人、建物管理者、荷主、元請事業者へ相談しましょう。
受取人から予定外の場所まで運ぶよう求められた場合も、その場で安易に引き受けず、契約内容を確認してください。
無理な作業を断ることは、荷物と自分自身の安全を守るために必要な判断です。
足元が見えず、重心も不安定になります。往復回数を減らすことより、安全に持てる量を優先しましょう。
片側に重さが集中し、姿勢が傾きやすくなります。可能な限り両手で持ち、荷物を身体の正面に近づけます。
時間に遅れそうな場合でも、階段を走るのは危険です。遅延が予想される段階で、元請事業者や受取人へ連絡しましょう。
台車が跳ねたり、手が滑ったりすると、荷物と台車が階段下へ落下する可能性があります。通常の台車は平坦な場所で使用してください。
腰、膝、肩などに痛みがある状態で階段配送を続けると、症状が悪化する可能性があります。
急な強い痛み、脚のしびれ、力が入らないなどの症状がある場合は作業を中止し、必要に応じて医療機関へ相談してください。
出発前や現地到着時に、次の項目を確認しましょう。
階段配送の負担を減らすには、配送先だけでなく、軽バンから荷物を取り出す作業も見直す必要があります。
軽バンをリースまたはレンタルするときは、次の点も確認しましょう。
荷室が整理されていれば、荷物を探す時間や無理な姿勢を減らせます。配送順に合わせて積み込み、台車や補助用品が荷物の下に埋もれないようにしましょう。

エレベーターのない建物への配送では、階段の上り下りによる腰、膝、肩への負担に加え、転倒や荷物落下の危険があります。
負担を減らすために、次の対策を実践しましょう。
無理に一度で運ぶよりも、荷物を小分けにして確実に届けることが大切です。配送効率だけでなく、自分の身体、周囲の人、荷物の安全を優先しましょう。
軽貨物配送では、荷物の大きさや配送先の環境によって、使いやすい車両や必要な装備が異なります。
軽バンリース・レンタル本舗では、配送期間や働き方に合わせた事業用軽バンのリース・レンタルについて相談できます。
初期費用を抑えて軽貨物配送を始めたい方や、台車を収納しやすい車両を検討している方は、最新の料金、車両装備、契約条件、メンテナンス内容をご確認ください。