近年、環境問題や社会課題への関心が高まる中、持続可能な社会を目指す取り組みが各業界で進められています。
物流業界も例外ではなく、SDGs(持続可能な開発目標)に対応した配送方法が注目を集めています。
SDGsに対応した配送とは?
出典:国際連合広報センター
SDGs(持続可能な開発目標)は、2030年までに達成すべき17の目標と169のターゲットから構成されており、環境、経済、社会にわたる幅広い分野を網羅しています。
例えば、貧困の撲滅や質の高い教育、ジェンダー平等といった社会的な目標に加え、気候変動やエネルギーの持続可能性に関する目標も含まれます。
これらの目標は、企業や個人が協力して取り組むべきもので、地球規模での持続可能な社会の実現を目指しています。
物流業界も、この目標に応じて環境負荷を減らしながら、社会に貢献する役割を担っています。
SDGsの17の目標の中で、物流業界が特に注目しているのは「目標7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに」や「目標13:気候変動に具体的な対策を」です。
これらの目標は、物流業界が排出する温室効果ガスを削減し、持続可能なエネルギー利用を促進することを求めています。
例えば、低燃費車両や電気自動車の導入、輸送ルートの効率化など、環境に優しい技術が物流企業に導入されています。
また、循環型経済の実現に向け、資源のリサイクルや再利用を促進し、廃棄物削減にも取り組んでいます。
これにより、持続可能な物流が社会全体に広がることを目指しています。
SDGs対応配送の事例
SDGs対応配送は、多くの物流企業で具体的な取り組みが進められています。ここでは、日本を代表する2つの企業、佐川急便とヤマト運輸の事例を紹介します。
出典:佐川急便
佐川急便は、SDGsの目標達成に向けた具体的な取り組みを進めている代表的な企業です。
特に、「目標13:気候変動に具体的な対策を」を意識し、排出ガスの削減を重視しています。
例えば、佐川急便は電動自転車や電気自動車(EV)を積極的に導入しており、これにより都市部での配送時に排出されるCO2を大幅に削減しています。
さらに、配送効率の向上にも力を入れており、配送ルートを最適化するためのAI技術を活用しています。
これにより、無駄な走行を減らし、燃料消費と二酸化炭素排出量を削減することが可能となっています。
このように、佐川急便は環境負荷を低減するさまざまな取り組みを通じて、持続可能な物流の実現を目指しています。
出典:ヤマト運輸
ヤマト運輸も、SDGsに基づいた配送サービスを展開している企業のひとつです。
特に、「目標7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに」に関連した取り組みとして、再生可能エネルギーの利用を進めています。
ヤマト運輸は、配送センターやトラックの充電ステーションでの太陽光発電の導入を進めており、これにより、化石燃料の使用を抑え、CO2排出量を削減しています。
さらに、ヤマト運輸は、地域社会と連携した取り組みにも力を入れており、地方自治体との協力でエコ配送を実現するモデルを展開しています。
例えば、地域密着型のエコ配送車を導入し、地域住民の生活と持続可能な輸送サービスを両立させる事例があります。
ヤマト運輸のこれらの取り組みは、「目標11:住み続けられるまちづくりを」の実現にも寄与しており、都市部だけでなく地方でも持続可能な物流ネットワークを構築することを目指しています。
サステナブル物流とは
サステナブル物流を実現するための重要な手段の一つが、環境に優しい輸送技術の導入です。
例えば、電気自動車(EV)やハイブリッド車の普及は、物流業界においてCO2排出量を大幅に削減する方法として注目されています。
さらに、AIやIoT技術を活用した物流の効率化も進んでいます。
これらの技術により、リアルタイムで最適なルートを選定し、輸送の効率を高めることで無駄な燃料消費やCO2排出を抑えることが可能です。
また、燃料電池車やバイオ燃料の利用も進んでおり、持続可能なエネルギー源として期待されています。
物流業界が抱える環境問題は深刻です。
主な問題は、トラックや船舶、航空機などによる温室効果ガスの排出です。
これにより地球温暖化が進行し、気候変動の原因の一つとなっています。
特に、国際的な貿易や配送が増加する中で、物流にかかる環境負荷は無視できない課題です。
また、過剰な梱包や使い捨ての包装資材も大きな問題です。
これらは大量の廃棄物を生み出し、リサイクルが困難なケースも多く見られます。
物流業界では、CO2排出を減らすためにさまざまな取り組みが進められています。
例えば、トラックや配送車に電気自動車を導入することで、化石燃料の消費を減らし、排出ガスを削減する動きが強化されています。
また、輸送ルートを効率化するための技術革新が進んでおり、AIを活用した配送計画システムによって、無駄な走行やエネルギーの浪費を抑えることが可能です。
さらに、鉄道や船舶などのより環境に優しい輸送手段の利用も注目されています。
鉄道はトラックに比べてCO2排出量が大幅に少なく、大量の貨物を一度に運ぶことができるため、エコロジーな輸送手段として重視されています。
SDGs対応配送による輸送コスト削減のメリット
SDGsに対応した配送は、単に環境に優しいだけでなく、企業にとっても大きな経済的メリットをもたらします。
エネルギーの効率化や無駄なコストの削減が可能となり、結果的に輸送コストの削減につながります。
ここでは、SDGs対応配送がどのようにして輸送コストの削減に貢献するのか、その具体的なメリットを見ていきます。
SDGs対応の配送では、従来の配送手段に比べてエネルギー効率が格段に向上します。
特に、電気自動車(EV)やハイブリッド車などの環境に配慮した車両の導入は、燃料コストを大幅に削減することができます。
従来のガソリン車やディーゼル車に依存していた場合、燃料費が輸送コストの大部分を占めていましたが、電気自動車はエネルギー消費量が少なく、長期的にはコストが抑えられます。
エネルギー効率が上がることで、企業は持続可能な形で輸送コストを削減することができるのです。
SDGs対応配送は、輸送プロセスの効率化によって大きなコスト削減をもたらします。
例えば、AIやIoTを活用したルート最適化技術を導入することで、無駄な走行を避け、最短かつ最も効率的な輸送経路をリアルタイムで選定することが可能です。
これにより、トラックや配送車が無駄な距離を走ることなく、燃料の節約や時間短縮が実現します。
こうした効率化の取り組みにより、企業は輸送コストを削減しながら、同時に配送時間の短縮や顧客満足度の向上も実現できます。
SDGs対応配送は、単に輸送の効率化だけでなく、廃棄物の削減にも寄与します。
たとえば、企業は梱包材の使用を最小限に抑えることで、資源の無駄遣いを防ぎ、廃棄物処理コストを削減することができます。
過剰な包装や使い捨てのプラスチックを減らす取り組みは、環境保護に加えて、資材費や処理費用の削減にもつながります。
SDGs対応配送における今後の課題
SDGs対応配送は、環境や社会に優しい持続可能な物流手段として注目されていますが、その普及にはいくつかの課題があります。
ここでは、SDGs対応配送に関する今後の課題を具体的に見ていきます。
SDGs対応配送を実現するためには、初期投資コストの高さが大きなハードルとなっています。
例えば、電気自動車(EV)や水素燃料車などの環境に優しい配送車両は、従来のガソリン車やディーゼル車に比べて購入価格が高く、企業にとっては大きな負担となります。
また、エネルギー効率を上げるための施設や技術の導入にも多額の資金が必要です。
SDGs対応配送を実現するためのインフラ整備の遅れも、今後の大きな課題です。
特に、電気自動車や水素燃料車などの次世代輸送手段を導入するには、充電ステーションや水素ステーションなどのインフラが十分に整備されていることが前提となります。
しかし、現在の日本ではこのインフラ整備が都市部を中心に進んでいるものの、地方や過疎地域では依然として不足しているのが現状です。
SDGs対応配送を成功させるためには、顧客の理解や協力が不可欠です。
環境に配慮した配送方法は、従来の物流手段よりもコストが高くなる場合があり、そのため配送費用が一時的に上昇することがあります。
企業としては、環境に優しい取り組みを行っていることを顧客に理解してもらい、その取り組みに対する追加コストを納得して支払ってもらう必要があります。
まとめ
SDGs対応配送は、持続可能な社会の実現に向けた重要なステップであり、環境負荷を軽減するだけでなく、コスト削減や効率的な物流の実現にもつながります。
未来の物流を持続可能な形で実現するために、今後も積極的な取り組みが求められます。
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