個人事業主として事業をする場合、仕事で使う車を経費として計上できるかどうかは、節税の面で大きなポイントです。
個人事業主の場合、車を仕事とプライベートの両方で使用している方も多いのではないでしょうか?
「経費としてどの程度計上できるのか?」「購入費用や維持・管理費用を経費として計上するにはどうしたらよいのか?」と悩んでいる方もいるでしょう。
個人事業主が車を経費として計上する際のポイントについて解説しますので、参考にしてください。
経費で落とせる車の条件とは?
個人事業主が車を経費として計上するためには、いくつかの条件があります。
◆業務使用の割合
車にかかる費用を経費として計上するには、車の使用割合を明確にする必要があります。
業務とプライベートの両方で使用している場合、経費として計上できるのは仕事で使用した費用だけです。
車の場合、仕事で使用した日数と走行距離などの割合から計算します。
◆業務専用車
業務専用車は、車の購入や維持に必要な費用を経費として計上できます。
購入した車は固定資産となるため、減価償却の必要があります。
◆使用証明
経費として計上できるのは、仕事で使用した費用だけです。
そのため、車の使用状況を明確にする必要があります。
車の使用日数や走行距離を記録し、車の運行記録などの証明が必要です。
車の購入費用の取扱い
車は固定資産となるので、購入費用は減価償却が必要です。
減価償却とはどのような方法なのでしょうか。
◆減価償却とは?
車の耐用年数に応じて、毎年一定額を経費として計上する方法です。
普通自動車の耐用年数は新車で6年、軽自動車は4年となっています。
中古車の場合は、購入時の経過年数に基づき耐用年数の計算が必要です
耐用年数と超えていない場合(1年以上使用した場合)、新車の耐用年数の80%
1年未満の使用では、新車の耐用年数と同じです。
法定耐用年数を超えている中古車では、(法定耐用年数ー経過年数)+(経過年数×20%)で計算します
端数処理として6ヶ月未満は切り捨て、6ヶ月以上は切り上げます。
例として、法定耐用年数年数6年、経過年数3年で計算してみましょう。
(6−3)+(3×0.2)=3+0.6=3.6年
3.6年から端数処理を行い、4年となります。
減価償却の方法は「定額法」と「定率法」の2種類あります。
定額法は、減価償却中の償却額が一定なので簡単に計算できる点がメリットです。
定率法は、初年度に計上できる経費の額が大きくなる点がメリットです。
どの方法を選択しても最終的な減価償却額は同じですが、自分にとってメリットのある方を選びましょう。
車関連の費用として計上できる項目
車の購入費用以外にも、以下のような費用を経費として計上できます。
◆燃料費
仕事で使用した分のガソリン代は、経費として計上できます。
車を仕事とプライベートで使用している場合、プライベートで使用したガソリン代は経費にはなりません。
◆保険料
自賠責保険(強制保険)や自動車保険(任意保険)は、経費として計上できます。
◆修理・メンテナンス費用
仕事で使用している車の修理・メンテナンス費用は、経費として計上できます。
◆駐車場代
仕事で必要な駐車場代なども経費です。
月極駐車場は「地代家賃」として計上でき、仕事でコインパーキングなどを利用した場合も、経費として計上できます。
節税のコツと注意点
車にかかる費用を経費にすることで節税できますが、経費として計上する際には注意点があります。
◆正確な記録の保持
車を仕事とプライベートで使用している場合、仕事で使用した割合とプライベートで使用した割合を正確に記録することが必要です。
経費として計上できるのは、事業に必要な支出だけです。
その点を明確にする為にも、仕事で使用した日数や走行距離などを運行記録として残し、仕事で使用した根拠を残しておく必要があります。
◆プライベート利用の排除
プライベートで利用した費用は経費として認められません。
経費として計上できるのは、事業に必要な支出だけです。
仕事とプライベートの利用割合を明確に区分けし、適切な経費処理を行いましょう。
◆税理士に相談
税法は複雑なので、税理士に相談することをおすすめします。
アドバイスを受けることで、節税効果を最大限に引き出せるでしょう。
個人事業主が車を経費で落としたいときのよくある質問
◆高級車でも経費になる?
仕事で使用していれば高級車も経費として計上できます。
経費として計上できるかどうかは、車種や値段で判断しません。
「事業に関する支出か?」「仕事に必要か?」などの項目で判断します。
しかし、高級車の場合税務調査でのチェックが厳しくなる可能性があるので、その点は注意が必要です。
◆個人事業主が車を買うときの買い方は?
「現金一括」「ローン」「カーリース」「残価設定クレジット」などの方法で購入できます。
それぞれメリット・デメリットがあるので、自分にあった支払い方法を選択しましょう。
購入方法により経費処理も違ってくるので、その点は考慮する必要があります。
◆車を経費にするとずるいと言われる?
自己所有の車も、仕事で使用した分は「事業に関する支出」なので経費として計上できます。
車を経費として計上するのは「ずるい」ことではありません。
運行記録などで業務に使用した根拠を残し、「事業に関する支出」であることを証明しましょう。
◆途中から経費にする・開業前に購入した場合は経費にできる?
購入金額がわかり、仕事に使用していることが証明できれば経費として計上可能です。
経費として計上できる金額は、購入金額から仕事に使用していない期間の減価償却費を差し引く必要があります。
耐用年数が6年の車を2年仕事以外で使用していた場合、2年分を差し引いた4年分を経費として計上可能です。
◆10年落ちも経費にするのはOK?
仕事で使用している車であれば、新車でも10年落ちの中古車でも経費として計上可能です。
普通自動車の耐用年数は新車の場合6年なので、10年落ちの中古車は耐用年数を過ぎています。
耐用年数が過ぎた中古車の耐用年数は2年なので、短期間で経費計上できる点はメリットです。
◆個人事業主が車を買うタイミングのおすすめは?
車を購入するなら、会計初年度の1月がベストです。
その理由として、会計初年度に購入すると1年間分を減価償却できるからです。
減価償却は月割りでしか経費として計上できません。
12月に購入した場合、1カ月分しか経費として計上できないので注意してください。
◆経費で車を買うメリットは?
車の維持・管理に必要な費用を経費として計上することで、節税効果が期待できる点がメリットです。
まとめ
個人事業主が車を経費として計上するためには、業務使用の割合や減価償却、正確な記録の保持が重要です。
車は固定資産になるので減価償却が必要です。
減価償却の期間は、耐用年数で決まります。
新車と中古車では耐用年数が異なるので注意してください。
減価償却する方法として、定額法と定率法の2つの方法があります。
どちらの方法を選んでも、最終的な減価償却額は同じです。
毎年の経費として計上できる金額が異なるので、自分にとってメリットのある方法を選択しましょう。
税法は複雑で難しいので、税理士に相談することをおすすめします。
これらのポイントを押さえ適切に経費計上することで、節税が期待できます。