近年、ネット通販の拡大や即日配送ニーズの高まりにより、軽貨物配送の重要性はますます増しています。
その一方で、都市部でのCO2排出や渋滞、騒音といった環境負荷も深刻な課題として浮上しています。
こうした背景から、環境にやさしい軽貨物配送が注目され、企業の取り組みも本格化しています。
軽貨物配送とは?
軽貨物配送とは、軽自動車(主に軽バンや軽トラック)を使用して、比較的小規模な荷物を運搬する配送サービスです。
ネット通販の普及やフードデリバリーの需要拡大により、近年ますます注目が集まっています。
特に都市部では、効率的かつ小回りの利く軽貨物配送が、個人事業主や小規模事業者を中心に広がりを見せています。
軽貨物配送には、いくつかの配送スタイルがあります。
代表的なのは「宅配型」「チャーター便」「スポット配送」「ルート配送」の4つです。
ネット通販商品のラストワンマイル配送で多く採用されており、個人宅や事業所への配達が中心です。
企業が特定の時間帯に車両を貸し切り、特定ルートや条件に合わせて荷物を運びます。
急な配送依頼や時間指定に対応するスタイルで、柔軟性の高さが魅力です。
毎日または定期的に決まったルートを回る方式で、食品や医療品の配送でよく使われます。
近年の軽貨物配送の需要増加には、いくつかの背景があります。
まず、ECサイトの利用増加により、小口配送のニーズが飛躍的に高まっています。
さらに、フードデリバリーや医療品配送、定期便などの細分化された需要にも、軽貨物は柔軟に対応できます。
企業だけでなく、副業や個人事業としての軽貨物ドライバーも増加しており、多様化するライフスタイルや働き方改革にもマッチした働き方として注目されています。
便利で柔軟性の高い軽貨物配送ですが、その一方で環境への影響についても議論が高まっています。
配送の回数や車両の増加は、以下のような課題を引き起こします。
軽貨物車両は一般的にガソリン車が多く、走行距離が増えるにつれてCO2の排出量も増加します。
大規模トラックと比べると1台あたりの排出量は少ないものの、配送台数の増加によって全体としては大きな環境負荷をもたらします。
特に都市部では「少量・高頻度」の配送が主流のため、非効率な配送ルートがCO2排出を助長するケースもあります。
軽貨物車両が増えることで、都市部の交通量も増加し、慢性的な渋滞を引き起こす要因になります。
道路が狭い住宅街や商業エリアでは、配達中の車両が道路をふさぎ、他の交通の妨げになることも少なくありません。
これにより、配送の効率低下だけでなく、周辺住民のストレスや生活の質の低下にもつながります。
配送車両のエンジン音、ドアの開閉音、積み下ろし時の作業音などが原因で、特に早朝や深夜の配達では騒音問題が生じることもあります。
騒音は住民の快適な生活に直接影響を与えるため、配慮のない運用は地域社会との摩擦を生むリスクもあります。
なぜ環境にやさしい軽貨物配送がもとめられるのか
近年、「環境にやさしい軽貨物配送」へのニーズが高まっている背景には、社会全体の価値観の変化があります。
国連が掲げる「SDGs(持続可能な開発目標)」の広がりにより、多くの企業や自治体が持続可能な社会の実現を目指す動きを加速させています。
その中で、CO2の排出削減や省エネルギーへの取り組みが重視されており、物流・配送分野も例外ではありません。
軽貨物配送においても、電気自動車(EV)の導入や配送効率の最適化といった、より環境に配慮した手法が注目されています。
企業に求められる社会的責任(CSR)は年々拡大しており、その中核には「環境保護」があります。
中でも近年は、ESG経営(環境・社会・ガバナンス)という視点が経営戦略の一部として導入されるようになりました。
環境に配慮した配送体制は、ESG投資家や取引先からの信頼を得るうえでも重要な指標となります。
環境への配慮を前面に打ち出すことで、企業は「持続可能性を大切にする企業」というブランドイメージを確立できます。
消費者の間でも、環境意識の高い商品やサービスを選ぶ傾向が強まっているため、エコな軽貨物配送の導入は、企業のブランド価値や顧客ロイヤルティの向上にも寄与します。
環境にやさしい軽貨物配送の方法
環境にやさしい軽貨物配送を実現するためには、従来の配送方法を見直し、最新のテクノロジーや持続可能な仕組みを積極的に取り入れることが求められます。
環境負荷の低減に効果的な具体的な取り組みを4つ紹介します。
軽貨物配送においてもっとも直接的にCO2排出量を削減できるのが、電気自動車(EV)の導入です。
ガソリン車に比べて走行時の排出ガスがゼロであるEVは、都市部の大気汚染対策にも貢献します。
また、近年ではEVの航続距離も向上し、配送業務に支障のないレベルまで性能が進化しています。
各自治体による補助金制度も活用しやすく、導入のハードルは年々下がっています。
配送における無駄な走行やアイドリングを減らすためには、ルート最適化システムの導入が有効です。
AIやGPSを活用した配送管理システムは、リアルタイムで交通情報や配達先の状況を把握し、最も効率的なルートを自動で提案してくれます。
これにより、燃料の使用量を抑え、CO2排出削減と配送時間の短縮を同時に実現することができます。
個人事業主や地域密着型の配送業者が多い軽貨物業界では、シェアリングエコノミーの仕組みが有効です。
たとえば、複数の企業で配送車両やドライバーを共有したり、帰り便(復路)で他社の商品を配送することで、空車率を減らし、効率的な輸送が可能になります。
このような共同配送の仕組みは、走行距離や台数を減らすことで、環境への負荷を軽減できます。
配送物そのものにも配慮することが大切です。
再利用可能な資材やリサイクル素材を使った梱包は、廃棄物の削減に直結します。
また、商品サイズに合った梱包を心がけることで、無駄な空間を減らし、より多くの商品を一度に運べるようになり、輸送効率の向上にもつながります。
企業によっては、ユーザーが梱包資材を返却できる循環型の仕組みを導入している例もあります。
環境にやさしい配送の実際の事例
軽貨物配送をはじめとした環境にやさしい取り組みを行っている、代表的な3社の事例を紹介します。
出典:ヤマト運輸
ヤマト運輸は、再配達によるCO2排出を削減する取り組みに積極的です。
荷物の受け取りをスムーズにするため、宅配ボックスやコンビニ受け取りの推進を行っており、再配達率のさらなる低減を目指しています。
また、軽貨物分野では小型の電動配送車(ウォークスルーEV)を都市部中心に導入し、排出ガスゼロの配送を実現させています。環境と効率の両立を図っています。
出典:佐川急便
佐川急便は「グリーン経営認証」を取得し、環境対応車の導入やエコドライブの徹底を進めています。
中でも、圧縮天然ガス(CNG)車の導入によって、ガソリン車よりもクリーンな排出を実現しています。
さらに、AIを活用した配送ルートの最適化システムを導入し、走行距離の削減と燃費向上を図ることで、配送全体の環境負荷を低減しています。
出典:Amazon
Amazonは「2040年までにカーボンニュートラルを達成」という目標を掲げ、世界的にEV配送車の導入を進めています。
日本でも2023年から、電動三輪バイクやEVバンを都心部の配送に本格導入し、静音性と環境性能に優れた配送体制を構築中です。
また、梱包資材の見直しにも注力し、再生紙やサイズ調整アルゴリズムを活用することで、過剰包装の削減と輸送効率の向上を実現しています。
まとめ
軽貨物配送は、現代社会に欠かせないライフラインでありながら、環境に対して大きな影響を与える分野でもあります。
CO2の排出や渋滞、騒音といった問題は、私たちの日常と密接に関係しており、これらの課題に取り組むことは持続可能な社会の実現に直結します。
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