軽貨物配送では、段ボール、飲料、精密機器、長尺物など、形や重さが異なる荷物を軽バンに積み込むことがあります。
出発時にはきれいに並んでいても、急ブレーキやカーブ、段差の通過によって荷物が移動し、荷崩れが起こる可能性があります。荷物が崩れると、商品の破損や誤配だけでなく、バックドアを開けた際の落下や車両バランスの悪化にもつながります。
この記事では、軽バンの荷崩れを防ぐ積み方と、ラッシングベルトや滑り止めマットなどの固定用品について解説します。

荷崩れは、単に荷物を積み重ねすぎた場合だけに起こるものではありません。
主な原因には次のものがあります。
走行中の荷物には、発進時は後方へ、減速時は前方へ、カーブでは左右へ動こうとする力が加わります。
軽い段ボールであっても、積み重ねた状態で崩れると周囲の荷物を押し、荷室全体の荷崩れにつながることがあります。
荷崩れによって考えられる問題は、荷物の破損だけではありません。
段ボールの角がつぶれたり、上に載せた荷物の重さで下の箱が変形したりする可能性があります。
食品、飲料、精密機器、ガラス製品などは、外箱に大きな損傷がなくても、中身が破損している場合があります。
重い荷物が片側へ移動すると、車両の重心が偏ります。
特にカーブ、車線変更、横風、急な回避操作などでは、安定した走行に影響する可能性があります。重量物は荷室中央付近の低い位置へ積み、左右の重量差をできるだけ小さくしましょう。
走行中に荷物が後方へ移動していると、バックドアを開けた瞬間に落下する危険があります。
到着後は、いきなりドアを大きく開けず、荷物が寄りかかっていないか確認しながら慎重に開けてください。
配送順に積んでいても、荷崩れによって位置が変わると、目的の荷物を探しにくくなります。
伝票の見間違いや荷物の取り違えが起こり、誤配につながる可能性もあります。

国土交通省の事業用トラック向け安全教育資料では、混載貨物は積み付けの順序や形状を考慮し、重量物や長尺物は重心位置に配慮することが示されています。
大型トラックと軽バンでは荷室の構造が異なりますが、重い荷物を低く積む、偏荷重を防ぐ、隙間を埋める、積荷を固定するという基本的な考え方は、軽貨物配送でも参考になります。
国土交通省「事業用自動車総合安全プランに基づく安全教育資料・トラック事業者編」
飲料、書籍、工具などの重い荷物は、荷室の低い位置へ積みます。
重い荷物を上に載せると重心が高くなり、カーブや段差で荷物が倒れやすくなります。また、下にある軽い段ボールがつぶれる原因にもなります。
基本的な積み方は次のとおりです。
外箱が大きくても軽い荷物があるため、大きさだけで判断せず、実際の重量や荷扱い表示を確認しましょう。
荷物を片側だけに集中させると、車両の左右バランスが悪くなります。
重量物はできるだけ荷室中央付近へ置き、左右に分散させましょう。後輪より大きく後方へ重量が偏る積み方も避けます。
ただし、車両ごとに荷室の形状や固定場所が異なります。車両の取扱説明書や、委託元が定める積載ルールも確認してください。

荷物の間に隙間があると、走行中に荷物が移動しやすくなります。
荷物を安定させたうえで、次の用品を使って隙間を埋めます。
隙間をなくすために荷物を強く押し込むと、外箱や中身を傷める可能性があります。荷物を圧迫しない範囲で調整しましょう。
同じ住所へ複数個の荷物を届ける場合は、できるだけ近い場所へまとめます。
配送先ごとに分けておくと、荷物を探すために積み直す回数を減らせます。荷室内で何度も荷物を動かすことによる荷崩れや誤配の防止にも役立ちます。
天井付近まで不安定に積み上げると、上部の荷物がカーブや段差で落下しやすくなります。
荷室の高さに余裕があっても、箱の強度や重量を確認せずに積み重ねてはいけません。段ボールが変形している場合や、湿気で強度が落ちている場合は、上積みを避けましょう。
割れ物、精密機器、液体、冷蔵品などは、通常の荷物と同じ積み方が適さない場合があります。
荷扱いの指示がある場合は、その内容を優先してください。

荷物の量や形状に合わせて固定用品を使い分けましょう。
| 固定用品 | 主な用途 | 使用時の注意点 |
|---|---|---|
| ラッシングベルト | 段ボールやコンテナの固定 | 耐荷重、ベルトの傷、金具の掛け方を確認する |
| カーゴネット | 複数の軽い荷物をまとめる | 網目から小さな荷物が抜けないか確認する |
| 滑り止めマット | 荷室床面での横滑りを抑える | 汚れ、油、水分、破れを点検する |
| 突っ張り棒 | 荷室内を区切り、荷物の移動を抑える | 車両対応品を使い、固定強度を確認する |
| 仕切り板 | 配送エリアや荷物の種類を分ける | 走行中に仕切り自体が動かないよう固定する |
| 緩衝材 | 荷物同士の隙間や接触を減らす | 荷物を圧迫し過ぎないようにする |
| 折りたたみコンテナ | 小型荷物をまとめて管理する | ふたや留め具を確認し、コンテナ自体も固定する |
| コーナーパッド | ベルトによる箱の変形を防ぐ | 荷物の角に正しく当てて使用する |
ラッシングベルトは、荷物をまとめて固定する代表的な用品です。
選ぶ際は、次の点を確認します。
強く締めれば安全とは限りません。締め過ぎると段ボールが変形し、中の商品を傷める可能性があります。必要に応じてコーナーパッドや当て布を使用しましょう。
ベルトに切れ、ほつれ、溶け、著しい汚れがある場合や、金具が変形している場合は使用を控えてください。
カーゴネットは、不ぞろいな荷物や軽い荷物をまとめる場合に便利です。
ただし、重量物の固定をネットだけに頼るのは避けましょう。荷物の重量や形状に応じて、ラッシングベルト、滑り止めマット、仕切り用品などを組み合わせます。
荷室の床面が滑りやすい場合は、滑り止めマットを敷くことで荷物の移動を抑えられます。
ただし、滑り止めマットだけで荷物の転倒を完全に防げるわけではありません。背の高い荷物や重量物は、ベルトなどで固定してください。
砂、ほこり、水分、油分が付着すると滑り止め効果が低下する可能性があります。定期的に清掃し、破れや劣化も確認しましょう。
車両用の荷止めバーや突っ張り棒は、荷室を区切り、前後方向への移動を抑えるために使用します。
家庭用の突っ張り棒では、走行中に外れる可能性があります。車両用として設計され、荷室の幅や構造に合う製品を選びましょう。
荷室の内張りなど、強度が確認できない場所へ無理に固定すると、車両を傷める場合があります。
荷物を安定して積めても、車両の最大積載量を超えてはいけません。
一般的な貨物用途の軽バンでは最大積載量が350kgとされる車種が多くありますが、すべての車両が一律に350kgとは限りません。軽乗用車を貨物軽自動車運送事業に使用する場合など、積載できる重量の考え方が異なるケースもあります。
国土交通省は、2022年10月から一定の条件のもとで軽乗用車を貨物軽自動車運送事業に使用できるよう制度を変更しています。
国土交通省「貨物軽自動車運送事業における軽乗用車の使用について」
実際に積める重量は、車検証や車両に関する書類で確認してください。ドライバー、同乗者、車載用品などの条件によっても車両へかかる負担は変わります。
荷物1個当たりの重量が分からない場合は、荷主や元請事業者へ確認しましょう。「荷室に入るから積める」と判断するのは危険です。
積み込みが終わったら、次の順番で確認します。
車両を少し動かした際に荷室から大きな音がした場合は、荷物が移動している可能性があります。安全な場所へ停車して固定状態を確認してください。
積み込み時に固定していても、道路の振動や荷物の減少によって固定状態が変化します。
次のタイミングで荷室を確認すると安心です。
配達によって荷物が減ると、荷室内に隙間が増えます。残った荷物を配送順に整理し、必要に応じてベルトや荷止めバーを掛け直しましょう。
確認作業は路上や交通の妨げになる場所では行わず、安全に停車できる場所で行ってください。
積み方と固定が適切でも、荒い運転をすれば荷物は動きます。
荷物を守るために、次の運転を意識しましょう。
荷崩れを心配しながら走行する状態は安全とはいえません。出発前に積み直し、確実に固定してから運行を開始してください。

軽バンの荷崩れを防ぐには、荷物を多く積めるかどうかだけでなく、重量、重心、隙間、固定方法を考える必要があります。
特に重要なポイントは次のとおりです。
全日本トラック協会の「安全輸送のための積付け・固縛方法」でも、荷崩れ防止のための積み付けや固定の注意点が紹介されています。
荷物に適した固定用品を準備し、出発前と配送途中の確認を習慣にしましょう。
荷物を安全に運ぶには、配送する荷物の量や大きさに合った軽バンを選ぶことも大切です。
軽バンリース・レンタル本舗では、配送期間や働き方に合わせた事業用軽バンのリース・レンタルについて相談できます。
初期費用を抑えて軽貨物配送を始めたい方や、荷室の使いやすい車両を探している方は、最新の料金、車両装備、契約条件、メンテナンス内容をご確認ください。