― ドライバーとしての責任と正しい行動 ―
◆ はじめに
軽貨物配送や営業で日常的に車を使う人にとって、交通事故は「他人事」ではありません。
どれだけ注意していても、思わぬ瞬間に事故は起こりうるものです。
しかし、事故が起きたときに 適切な救護措置を取れるかどうか が、命を救うかどうかの分かれ道になります。
この記事では、万が一の交通事故発生時にドライバーが取るべき「救護措置」について、法的義務と実務的対応を整理して解説します。
◆ 救護義務とは何か

交通事故を起こしたドライバーには、「救護義務」という法的責任が課せられています。
これは道路交通法第72条に定められており、内容は以下の通りです。
この救護義務を怠ると、10年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられることもあり、極めて重大な違反となります。
◆ 救護措置の具体的な流れ
① 安全な場所へ車を停止する
まず最優先は「二次事故の防止」です。
自分や他の通行者が巻き込まれないよう、安全確保を徹底しましょう。
② 負傷者の確認と応急処置
次に、事故相手や同乗者などにケガ人がいないか確認します。
医療知識がなくても構いません。
大切なのは、「命を救うために最善を尽くす」ことです。
③ 救急車・警察への通報
救急要請と警察への報告は必ず行いましょう。
※小さな事故でも、自己判断で通報を省略してはいけません。
警察の現場確認がないと、保険手続きが進められない場合があります。
④ 負傷者の搬送
救急車が来るまでの間に、必要であれば自ら病院へ搬送することも可能です。
ただし、次の点に注意してください。
⑤ 事故現場の保全
事故後の調査や保険処理のため、現場の状況を記録します。
軽貨物配送の場合、積み荷の状態も確認し、損害がないか記録しておくことが重要です。
◆ 救護義務違反の重い代償
救護措置を怠った場合、次のような厳しい処罰を受ける可能性があります。
また、SNSや報道を通じて事故が拡散されれば、個人ドライバーとしての社会的信用の喪失にもつながります。
◆ 日頃からできる備え
◎ 応急救護の知識を身につける
運転免許取得時に学んだCPR(心肺蘇生)や止血法を復習しておくと安心です。
最近では消防署や自治体で「救命講習」が定期的に開催されています。
◎ 緊急連絡先を常に携帯する
勤務先、保険会社、家族の連絡先をメモしておきましょう。
スマートフォンの緊急連絡アプリも有効です。
◎ ドライブレコーダーの装備
事故の客観的記録を残せるため、救護や責任の所在を明確にできます。
◆ まとめ

交通事故は誰にでも起こりうるものですが、その後の行動こそがプロドライバーの本質です。
これらを冷静に実行することで、被害を最小限にとどめることができます。
ドライバーとしての誠実な対応が、信頼を守り、命を救う第一歩です。